今回はバンコクで教わっている宝石鑑別について書いていきたいと思います。
ジュエリーを買うとき、一番多くの人が気にするのは石が「本物か偽物か」だと思いますが、ではどのようにプロのバイヤーは石の真贋を見分けているのか?
科学的な石の検証方法で一番オーソドックスなものとして「屈折率検査」と「偏光検査」があります。
ものすごい噛み砕いていうと、石に空気中から光が入るとき、石によってそれぞれ固有の光の屈折の仕方があり、それを測定することでどの石か見分けるということです。
写真の手前が屈折率を測る屈折計、奥の器具が、石の屈折の特徴を見る偏光器。
鑑別機関に石の鑑別を頼むと、この器具を使って科学的に石を検証してくれます。が、バイヤーが商談にこの器具を持ち込んでいるかと言ったらNOで、もっと別の方法で石の真贋の目星をつけています。
その方法とは、ルーペでインクルージョン(内包物)のありなし、特徴の確認です。
宝石の偽物として出回るプラスチック、ガラスや合成石にはないインクルージョンの特徴を持っているかをルーペで確認し、本物か偽物かを即時に判断します。
私の鑑別の先生は一度の仕入れで数千もの石を仕入れることも珍しくないため、一つの石の鑑別に使える時間は数秒とのこと。
間近で鑑別しているところを見ていると本当にすごいスピードで石を鑑別、検品していてまさに職人技。ジュエリー業界はたくさんの職人の技術、知識が集まってエンドユーザーに美しい作品を届けているんだな、と改めて実感させられます。
私も先生に習いながらいくつかの宝石の真贋をルーペで判別していく訓練をしています。
もちろん、この道ウン10年の先生のようにスムーズにスマートに鑑別することはできませんが、知識として知っていれば判別できる偽物が多いため、交渉の場で偽物をつかまされる可能性が下がって一安心です。(日本の宝石卸さんから購入する場合はまず悪意を持って偽物を売られることはありません。気をつけなければいけないのは、タイで現地の方やインド系の業者と交渉するときです)
次回は、今回のバンコクの仕入れの様子をお伝えしたいと思います。